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2007年7月15日 (日)

●イタリアの職人技、ミクロモザイクボタン

古代美術様式のひとつであるモザイクは、メソポタミアの古代文明が起源で、16世紀のルネサンス時代に、教会や神殿の装飾のためにイタリアで復活し、素材も技法もまったく異なった二つの様式に進化を遂げます。

そのひとつの「ローマンモザイク」は、金属の土台に色のついたガラスの小片を数多く並べてモチーフを描き出す手法で、16世紀のバチカン内にモザイク工房が設立されました。ローマンモザイクは、色ガラスを人工的に着色することで、多彩な色の表現が可能なことが特徴です。

050このボタンは、直径2センチほどの純金の土台に、色ガラスの小片を500ピース近く並べることで、鳩を描き出しています。ガラスは各種の色を束ねて熱した上で引き伸ばすと、ミルフィオーリと言う色彩豊かな装飾品を作り出すことが可能ですが、このボタンでは周囲に部分的にミルフィオーリが使用はされているものの、主要部分はミクロモザイクにこだわって作られた秀逸な作品です。

もうひとつのモザイクは、メジチ家のコジモ一世などの支援により職人が招聘され、フィレンツェで栄えた「フローレンスモザイク」です。エイゲイトやラピスラズリ、オニキスなどの半貴石を精密にカットし、黒の大理石の土台に細密に組み込まれてモチーフを描きました。

098_1このボタンはイタリアの名所旧跡が描かれたもので、18世紀のイギリス貴族の子息たちが修業の仕上げに、ヨーロッパ各地を回遊したグランドツアーの土産に使用されたことから、「グランドツアーボタン」とも称されています。

いずれの様式も商業的にも成功して、現代でもアクセサリーなどが作られています。

ボタン百物語 その10  by button curator

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