●現存する日本最古のボタン
前に書きましたが、日本にボタンが伝わったのは、鉄砲伝来の時期です。実はこの時期のボタンが熊本にある加藤清正の菩提寺「本妙寺」に伝わっています。
加藤清正の母親は、秀吉の母親といとこ同士のということから、清正は秀吉子飼いの武将と成り、後の九州征伐に加わり、肥後半国二十五万石を与えられ、熊本城主と成ります。
このころ秀吉は信長を引き継いで南蛮貿易を進めていたことは明らかで、何らかの褒美として、清正が秀吉から、南蛮渡来の上着を賜り、それが本妙寺に保管されていたと考えて何の不思議もないでしょう。
上着には、布地と友布の絹のくるみボタンが、前たて部分と袖部分に数多く使用されています。手縫いで丁寧に仕立てられた上着は、ボタンホールも手刺繍で仕上げられ、ボタン部分の裏もしっかり補強された、つくりのいいものです。
日本で作られたとは考えにくいので、前述のように、南蛮渡来の高級品と考えて間違いないと考えます。
ボタン百物語 その11 by button curator