« ●飾りとしてのボタン達 | トップページ | ●バブル崩壊で行方知れずになったボタンたち »

2007年7月14日 (土)

●国が繁栄するとボタンも派手になる

フランス革命とともに、華美なボタンは姿を消しましたが、19世紀も半ばを過ぎると、再び美しいボタンが登場します。今回は、19世紀後半にイギリス中心に一世を風靡した、「ビクトリアンジュエリーボタン」のお話です。

19世紀後半は、イギリスが最も繁栄した時期のひとつです。ビクトリア女王は即位後、長い間、国家を繁栄に導きますが、不幸にも早い時期に最愛のアルバート候を失ってしまいます。

その悲しみのため、女王は黒い喪服で残りの人生を過ごします。女王が美人だったこともあり、黒いファッションはイギリス中心のヨーロッパ全土に広がりを見せます。その黒い服に使われた「黒ガラスボタン」も流行るのですが、このころ同様にポピュラーになったボタンがあります。

052 このボタンは黒ガラスボタンとは違い、華美な装飾が施された、5センチ以上ある美しいボタンでした。「ビクトリアンジュエリーボタン」と名づけられたこれらのボタンは、金属の土台の上に、輝石や半輝石、精巧に作られた宝石のイミテーションが乗せられた、ゴージャスなボタンでした。

その後、アメリカのボタンコレクターがこれらのボタンを積極的に収集し、ゲイ・ナインティーズというイギリスとは異なる名称で、大切にコレクションしました。1890年代のアメリカは、開拓時代が終焉を向かえ、フロンティアという言葉が過去のものとなり、華麗なる発展を遂げます。“ゲイ・ナインティーズ”とは、“明るい90年代”という意味です。

国が繁栄するとボタンも派手になるです。

ところがこのボタンも、ビクトリア時代の終焉とともに、この世からその流麗な姿を消してしまいます

ボタン百物語 その4  by button curator

« ●飾りとしてのボタン達 | トップページ | ●バブル崩壊で行方知れずになったボタンたち »